第2号2016.7より

 今思えば、かなり無謀だったといわざるをえないが、多品目栽培も、職業としての農も経験しないまま就農した。その前段として、住む地域と家を決めなければならなかった。就農ということもあったが、一番上の子が翌春に就学を控えていて、それまでは親の都合で四つの保育所に通ったので、今度の家は仮ではなく、落ち着けるところにしたいと考えていた。いろんな意味で農業がしやすい、というのはもちろんだが、人里離れたところに暮らしたかったわけではなく、子育て環境のバランスがよく、東京などの大消費地からもそれほど離れていない地域を求めていた。日本中を探せばいいところはたくさんあるのだろうけど、結局それまで勤めていた牧場があったので、知り合いの縁があり、適度な田舎の安曇野に決めた。重要な家は、なかなか難しかったが、運よく先輩就農者の家の隣が空き、しかもなんとか手の届く範囲の額だったので、入居することができた。

2017年10月21日