創刊号2016.6より

 就農して七年目のシーズンを迎えた。前身の家庭菜園は大規模酪農場に勤務していた時に始めた。もともと何かを飼ったり、育てたりということが好きだったので、そのうえ比較的短期間で食卓に還元され、家族に喜ばれるという作業にすぐにのめりこんだ。酪農場では、自らの未熟さは棚に上げ、痒いところに手が届かない歯がゆさに痺れを切らし、どうせなら経営も実務も自分でやりたいと一念発起して、新規就農を決めた。なぜ牛ではなく野菜だったのかというと、資金面や労働力を考えると、僕たち夫婦ではとても酪農はできないと判断したからだ。学生時代の少しの農業体験と二年程度の家庭菜園の経験を元手に見切り発車気味にスタートしたが、自然界と農の奥深さにますます魅せられ、兼業から専業へと本格的に取り組むことになった。

2017年09月05日